仕事や家庭の都合、あるいは「機会がなかっただけ」という方もいるでしょう。
そして今、水温が上がり始めたこの季節になって、ふと「そろそろ海に行きたいな」という気持ちがムクムクと湧いてくる——。
その気持ち、ぜひ大切にしてください。
ただ、海に飛び込む前に、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
ブランクがあるとき、体に何が起きているか
人間の体は、使わなかった動作を少しずつ忘れていきます。
自転車の乗り方は忘れなくても、競技レベルのコントロールは練習しなければ衰えるのと同じように、ダイビングスキルも「できる・できない」の話ではなく、「どれだけスムーズにできるか」の精度が落ちていくのです。
具体的に影響が出やすいのは以下のような場面です。
まず、耳抜き。
潜降時の圧力変化に対応するこの動作は、慣れていれば自然にできますが、ブランクがあると「あれ、どのタイミングでやるんだっけ」と一瞬迷うことがあります。
その迷いが、耳への負担を生むこともあります。
次に、浮力調整。中性浮力を保つには、BCDの操作と呼吸のコントロールを同時に行う必要があります。
これは頭で考えてできるものではなく、体に染み込んだ感覚で行うものです。
ブランクがあると、この感覚の精度が落ち、ふわりと浮きすぎたり沈みすぎたりしやすくなります。
そして、ウエイトバランス。
夏はドライスーツからウェットスーツへ切り替わる季節です。
ドライスーツで使っていたウエイトをそのまま流用しようとしても、スーツの浮力特性が大きく異なるため、全体のバランスが崩れます。
毎年この切り替えで「なんかおかしい」と感じるダイバーは多いものです。
プールで「感覚のアップデート」を
ブランク明けに最もおすすめしたいのが、プールでの練習です。

「練習」と聞くと構えてしまう方もいますが、目的はシンプルです。
ただ「体に思い出してもらう」こと。
プールは安定した環境です。
波もなく、視界も良好で、いつでも立ち上がれる。
その安心感の中で、耳抜きのタイミング、BCD操作の感覚、ウエイトバランスを一つひとつ確認していくことができます。
「こんなことするまでもない」ではなく、「こうして確認したから安心して潜れる」という自信を手に入れる場所なのです。
浮力コントロールを磨くなら「DADツアー」へ
海での実践として特に推したいのが、**DADツアー(Dive Against Debris)**です。
海中でのゴミ拾いを楽しみながら行うこのツアーは、舞子浜・大蔵海岸・淡路島などのフィールドで開催しています。

DADの活動場所
DADの活動は主に浅場で行われます。
「浅いから簡単」と思われがちですが、実は逆です。
水深が浅い場所では水圧の変化が小さく、ウェットスーツや肺の空気量による浮力変化の影響が相対的に大きくなります。
つまり、より精密な浮力コントロールが求められる環境なのです。
海底スレスレで静止しながらゴミを拾い、浮かびすぎず沈みすぎず体をコントロールする。
この動作が、浮力コントロールの最良の実践練習になります。
ゴミ拾いというわかりやすい「目的」があることで、スキル練習の意識が薄れ、自然体で体を動かせるのも大きなポイントです。
さらに、ゴミ拾いの合間には生き物の観察もできます。
カメラを持って水中写真に挑戦するのも良いでしょう。
海の環境保全という意味ある活動に参加しながら、自分のスキルも高められる——DADはそんな一石二鳥の時間です。
なお、淡路島はDAD申込者のみが利用できる限定フィールドとなっています。
今から動いた人が、夏の海を最大限に楽しめます。
まずはプールで体に「海の記憶」を取り戻させるところから、一緒に始めましょう。







